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蜂インザヘッド 

ものすごく考えているか、まったく考えていない

猿的な部分

冷凍庫の霜取りをした。といっても頑張ったのはほとんど同居人で、私はまわりをちょろちょろして湯を沸かしたり引き出しを洗ったりしていたんだけど。腰の高さくらいの冷凍庫で、狩猟肉やその他冷凍食品などを入れて使っているのだが、どういうわけか上の段にいくほどひどい霜がつく。去年は霜取りを適当に済ませてしまったので、ほぼ二年分の霜が大きく育って引き出しを中からロックしてしまっていた。同居人が木槌とバールを使って彫刻家みたいに氷を削っていった。落ちた氷は洗面器で受ける。よくもまあ、空気からこれだけの水を取り出して凍らせるものだ。

氷が割れるように、けれども冷凍庫を傷つけないように、微妙な力加減で何度も何度も木槌をふる同居人を見ると、なんて粘り強いのだろうと思う。私だったら十回くらいやって投げ出しそうだ。手前を削って引き出しを少しだけ引き出したところで、ドライヤーで熱を加えようということになった。隙間にヘアドライヤーを突っ込んでスイッチを入れたら、引き出しに溜まった氷の粒がものすごい勢いで舞い上がって外へ飛び出し、我々の顔を直撃した。笑った。そりゃそうなるだろって感じだ。

苦労した甲斐あって引き出しはようやく外れ、肉は救出された。去年の肉がまだたくさん残っていて嬉しい。状態も良さそうだ。網棚に何度もお湯をかけ、ゆるんだところをバールで叩いて落とした。霜が細かな網にがっちり噛んでいて完全に取り去ることは不可能なのだが、叩けば叩いただけ多少の成果が出るので、引き際が難しい。網棚を手のひらでバンバン叩くと微小な氷の欠片がぽろぽろ剥がれて、続けていると自分の中の猿的な部分が目覚めだしてキィーッと叫びそうになった。叫んだかもしれない。たぶん叫んだ。こうして冷凍庫はきれいになった。

夜は同居人が救出した鹿肉で焼きそばを作ってくれた。おいしかった。