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蜂インザヘッド 

ものすごく考えているか、まったく考えていない

台湾で行った場所① 茶と茶料理と茶畑の村 猫空(Maokong)

台湾に行ってきた

2泊3日で台湾に行った。行きたい!!と思う強い理由があったわけではなくて、「ごはんおいしいらしい」「わりと安全らしい」、あと「1月に飛行機のチケットが安く売られてた」みたいなフワッとした動機である。

帰ってきた今は「台湾は最高、また行きます」という気持ちだ。それで、最高の感じを残すため旅行日記を書くことにした。

 

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わざわざ読んでくれる人に軽く断っておくと、この日記は外国人が日本を旅行して「飯の塊に生魚の切り身を乗せた料理が意味わからなくてよかったです」みたいなレベルの可能性がある。私は旅行前に台湾のことをほとんど調べなかったからだ。事前調査は書店で「るるぶ」とか「ことりっぷ」を手にとって1分くらいパラパラやって終わりだし、帰ってきた今も何が台湾の一般常識なのかよく知らない。

 

なぜ調べなかったかというと、必要がなかった。一緒に行った人がたくさん調べてくれていたこともあり、本当にありがたかったけれど、それ以上に日常会話で「今度台湾に行きます」と言うと、100パーの確率で女の子が台湾情報をくれるのだ。私の観測によれば女の子には(1)台湾に行ったことある女の子 (2)台湾に行ったことないがいつか絶対行く女の子 の2種類しかいない。「台湾ならここに行け!」「お土産はあれがオススメ」「行ったことないけど屋台のあれがおいしいらしい」などなど、結果、ほぼ調べずして台湾のうわさをたくさん手に入れることができた。女の子は台湾が大好き!江戸時代の旅行ってこんな感じだと思う。

 

前置きが長くなったけれど、1日目は猫空(Maokong)に行きました。

 

出鼻に先制パンチを食らう

猫空はお茶の村だそうだ。台北桃園空港からバスで台北市の中心部に入り、台北車站(たぶん市内で一番デカい駅)から現地へ向かった。台北の端っこは都会と田舎が入り混じる不思議な都市で、そこそこ大きな山のすぐ向こうに高層ビルが見えたりする。

 

動物園の近くにある動物園という駅に着いた。わかりやすくていい。そこからロープウェイで山の景色を眺めながら上って行くと、猫空に行けるのだそうだ。

 

が。

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ロープウェイはメンテナンス中で5月いっぱい運行していなかった!

 

出鼻をくじかれた。どうする?行く?と話し合っていると近くのタクシーのおっちゃんが話しかけてきた。どうも運休を知らずやってきたうっかり者を待ち伏せて拾っているらしい。別の観光客にフラれたおっちゃんは私たちに「サンバイ、サンバイ」と指を3本出した。「300元で猫空まで連れてくよ」と言ってるようだ。(サンは三だし、バイ百度バイドゥバイですね)

 

時間ももったいないし、乗ることにした。あとでわかったことだけれど300元というのはまあまあ割高だ。とは言えタイを旅行した時には、後から料金を上げようとしたり、隙あらばメーターを倒さず発車しようとする運転手がいたことを考えると、ぜんぜん明朗会計だし良心的だと思う。

 

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猫空には10分ほどで到着した。ロープウェイが動いていないので観光客はまばらだ。きっと普段はもっと混んでいるのだろう。舗装された田舎道を歩いていくと、道の脇にある屋台はすべて畳まれて閑散としている。このまま昼飯抜きで茶畑だけ眺めて帰ることになるのでは?と不安になったが、目当ての飲食店は開いていた。よかった。

 

四哥の店

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2階にあがり、眺めのよい席に通してもらった。5月の山、眼下に家庭菜園、遠くには都市が見渡せて風通しがいい。お茶の炒飯と燻製チキンをお茶で煮込んだもの、豚の炒め物、茶葉の天ぷらを食べた。店員さんは日本語ぺらぺらではないけどジェスチャーや英語で親切に教えてくれるし、メニューすべてに和訳がついている。イージーモードである。

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お茶のパラパラ炒飯。上に乗ってるのは肉のでんぶみたいなやつで、台湾でしょっちゅう見かけた。スーパーでも売られていた。 

 

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燻製チキンの煮込み。やわらかくて香りが良かった。また食べたい。

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ピリ辛の豚の炒め物。肉には軟骨がついていてゴリゴリした食感。和訳に「イノシシ」とあったけれど、たぶんふつうの豚だと思う。台湾の「豚」の漢字は、「豚」と「猪」の間みたいなかっこうをしている。

 

奥のは茶葉の天ぷら。ぱりぱりであまり味はないけど、ちょっとほろ苦くておいしい。

 

全部おいしい!!これは幸先がいいぞと、夢中で食べた。

調子に乗って食べたらお腹がぱんぱんになった。動けないでいると店員さんが「サビースです」と言って甘いお茶まで出してくれたので(お茶を売りにしてるお店なので本当はちゃんとしたメニューだ)、お言葉に甘えてしばらくいさせてもらった。

 

生き物がいっぱい

店を出て、次はお茶屋さんに向かった。お腹も満足した状態でゆっくりゆっくり歩いたので、行きには見つからなかった沿道の生き物たちが次々目に飛び込んできた。

 

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デカイかたつむり、ここまで大きいと陸貝と呼びたくなる。

 

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キノボリトカゲっぽいトカゲ。

 

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うどんげの花とイラガの繭のあいのこのようなやつ。

 

などなど。

台湾での珍しさはわからないが、ちょっとあたりを見回すだけで見慣れない生き物がたくさん見つかった。

 

それは嬉しかったのだが、陽を浴びながら生き物を撮っていたらなんだか気分が悪くなってきた。

 

私は日光にすこぶる弱く、夏は外を歩くと一瞬で熱中症になりかける。たぶん前世がダンゴムシなんだろうけど、あいつらは昼間歩いてるのをけっこう見るので、やっぱりカマドウマかもしれない。5月といえどなかなかの夏日で、汗がダラダラ出て「しっ、死ぬ~~~!」となった。周囲に自販機はないし、がんばってお茶屋まで歩くしかなかった。

 

「お茶じゃなくていいからとにかく水をくれ」状態になったころ、お茶屋についた。

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六季香茶房 

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かっこいい。

 

入り口から階段を上ると、店員さんが出てきて席に通してくれた。すぐ近くの席ではお店のおばあさんが机に茶葉をどっさり乗せて仕分け作業をやっている。運よく客は少ない。

 

店員さんは日本語も英語もあまり通じなかったけれど、メニュー表とジェスチャー、筆談を交えて注文できた。頼んだのは、冷凍烏龍茶の新鮮な(あまり発酵させていないという意味)、春茶だ。茶梅というお茶請けとセットにした。自分たちでお茶を淹れるコースにするとほんの少し値引きされる。

 

はじめに店員さんが手順を見せてくれた。茶器のセットがかわいい。

 

①電気ポットの湯を、茶葉を入れた茶壺と、空の茶海に注ぐ。

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②お茶が出るのを待つ間、茶海から茶盃に湯を注ぎ、温める。

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③茶盃の湯を盆に捨てる。

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④茶壺の茶を茶盃に注いで、飲む。

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という手順を繰り返して、なんと8煎めまで飲めるらしい。1煎めはふわーっと青っぽい香り。2~4煎めでお茶らしさのピークで、お茶ってこんなにクリアで味濃くて美味しいのかとびっくりした。5煎め以降は「まあお茶だよね」という味に落ち着いていく。

 

これがすごく楽しかった。同じ動きを繰り返すのは気持ちが落ち着くし、お茶の味が移り変わって面白い。日本の茶道だとお作法があって自分にはちょっとハードルが高いかなと感じるけれど、だらだらおしゃべりしながら気軽にお茶を飲めるのがいい(ほんとはお作法があるのかもしれない)。私は下戸でほとんどお酒が飲めないが、大茶飲みにはなれるかもしれない。

気づくと2時間くらい経っていて、お腹がお茶でたぽたぽだった。熱中症ぎみの体もこれだけお茶を飲めばおとなしくなるというものだ。

 

長尻をし、あらためてお店を眺めると、やっぱり雰囲気がいい。野良猫だか飼い猫だかが店の中を横切っていって、愛想をふりまくでもない。5月、快晴、台湾、午後3時の山の上、人の少ないお茶屋。死ぬ前に絶対走馬灯で見たい。むしろ死んだらここに来たい。死んで無限に出る茶葉でお茶を飲み続けたい。とすら思った。

 

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すっかり台湾茶のファンになったので、自分でも茶器がほしくなったけれど、その後の旅でこれはという茶器についに出会えなかった。高価すぎて手が出なかったり、持って帰れないほど道具が多かったり大きかったりした。訪れた村で、住人が軒先に使い古した茶器を出して飲んでいて本当にうらやましかった。最終日にダメ押しで三越百貨店に行ったが(台湾には三越百貨店がある。老舗だそうです)、最初に見当をつけた「家具製品」のフロアに茶器はなく、「生活雑貨」のフロアでコーナーを見つけた。生活雑貨、生活、生活なんだよな。と思った。そこの茶器も私にはまだ早いお値段で買えなかった。

いつか絶対に自分のための茶器がほしい。

 

帰り道

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お茶で元気になったので、帰りは茶畑の間の道を散歩した。

 

時々、タイル貼りのきれいな祭壇を見かけた。祠だろうか、お墓だろうか。

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これは昔の豚舎跡。豚の解釈が日本と少し違う気がする。

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ところでさっきからマイクロバスを見かける。調べると、ふもとの動物園の駅まで運行しているバスらしい。やはりロープウェイとタクシー以外にも交通手段があったのだ!一応バス停はあるが、乗る場所はどこでもいいようで、私たちの十数メートル先にいる人たちが今まさに手を振ってバスを止めた。あわてて走って、私たちも乗せてもらった。ふもとまで15元。タクシーの料金の10分の1だけど、行きはバスを見かけなかったのだから仕方がない。

駅に向かう途中で雨が降りだした。猫空、人少なくてよかったな。時間とタイミングが何もかも素敵だった。

 

おまけの小ネタ 台湾のトイレ

台湾のトイレはたいてい洋式で、どこもそこそこきれいだった。きれいさでいうと大阪都心の地下鉄のまあまあ歴史ある駅のトイレくらいだ。この説明で伝わるのかわからないが、①ちゃんと水洗式で、②掃除は行き届いているが、③まあまあ古く、④ウォシュレットなど電気的な機能はない。という感じ。

紙を流すのは一般的でないようで、そばにゴミ箱が備え付けてある。使った紙をゴミ箱に捨てるのは地味にストレスがたまった。同じような観光客がいるらしく、よく「紙を流さないでください!」といろんな国の言葉で書かれた貼り紙を見かけた。

それで、日本に帰った次の日ちょっと面白かったんだけど、地下鉄のトイレに入ったらこういう貼り紙を見つけた。

 

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紙を流す/流さないについて、日本と台湾で注意書きが反転している。

 

あと台湾でこういうのを見た。 

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日本でもめっちゃ見るやつ!ユーザビリティ~!国が違ってもやりがちなミスは似通っているようだ。