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蜂インザヘッド 

ものすごく考えているか、まったく考えていない

点取日記 12 落雷の現場

3日前から気になっていることがある。猫が母の部屋に立ち入らなくなった。

 

3日前は朝からよく晴れていたが、夕方になってから空がゴロゴロ鳴り始めた。夕立でもくるかなと思っているといきなりものすごい雷が落ちたのだ。

窓の外がカッと光り、バシャーンという音がした。パリパリッと空気のひび割れる音さえ聞こえた気がした。

 

私は驚いて部屋を飛び出し、飛び出したことには飛び出したあとで気づいた。

光と音がほぼ同時だ。すぐ近くに落ちたのに間違いなかった。

 

リビングへ行くと母も自室から出てきていた。すごかったねと言いつつ、飼い猫が怯えているのではないかと探してみると、食卓の下にもぐりこんでかたまっていた。

 

猫はついさっきまで母と同じ部屋で寝ていたのだが、やはり雷と同時に飛び出したらしい。人間と猫、種族は違ってもとっさの判断は似るものだ。

瞳孔の開いた大きな目で辺りを見回し、ひげと毛を逆立て、カタカタカタと小刻みに震えている。

かわいそうに、と言って私と母とで撫でてやったが、それでもしばらく治らなかった。

 

3日経った今、あれほどお気に入りだった母の部屋に猫は入ろうとしない。

 

どんな猫もそうではないかと思うが、猫にはお気に入りの場所がいくつかあって、いつもそのどれかを専有している。特定の椅子、特定の箱、特定の座布団の上などなど。

夏と冬、あるいは人の預かり知らない理由で使う頻度は移り変わるものの、その場所選びの頑固さには感心してしまう。

 

なのにここ数日、猫は母の部屋に入らない。冬の間のお気に入りだった父の布団にいたり、かと思えば中途半端な廊下の隅にしゃがんでいたりする。なんとも所在なさげで後ろ姿が寂しい。

 

強烈な光と音との現象を、猫は場所と結びつけて解釈したらしかった。つまりこの家のどこにいたって雷は落ちたのだが、猫の考えでは母の部屋の中の、大きな箱の上に寝ていたから、雷が落ちた、あの場所は危険だ、ということらしいのだ。

感電しなかっただけで、私の猫は雷に打たれたも同然である。

 

そのうち気を取り直して部屋に入れるようになるのではないかと予想しているが、きっとあの時寝ていた大きな箱にはもう近づかないと思う。猫は大変に賢く、一度飛び上がろうとして無様に転げ落ちた高い棚には二度と乗ろうとしないし、同居しているカメにも一度噛まれたので手を出さない。

 

雷は家の中に落ちた訳ではないと教えてやりたいが、言葉が通じないので困っている。

 


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「今日学校で居ねむりをしていた 2点」

 

高校時代は四六時中眠くてしょっちゅう居眠りをしていた。

今職場で居眠りなんかしたら単位を落とすどころかおまんまの食い上げになる可能性があるのでそうそうできない。

よくラジオをかけたままうとうとしてしまうのは、安全な居眠りがしたいのかもしれない。